風景這邊獨好(ふうけい こちら ひとり よく)は、「人と自然の心の対話」を主題とする墨霞の代表的な山水画である。
淡墨で遠山を、濃墨で近景を描き、重なり合う山々の間に雲霧が漂う。山崖に立つ数人の文人の姿は、自然と語らうように静かであり、飛び交う白鶴がその静寂に生命のリズムを与えている。
題名の「風景這邊獨好」は、静かな場所にこそ本当の美があるという詩的な意味を持ち、作者の内なる境地を象徴している。
本作では、潑墨と余白の妙を活かし、山水の呼吸と心の自由を表現。伝統的な筆法を継承しながらも、現代的な構成によって広がりと深みを生み出している。
この作品が語るのは、静謐の中にある真の豊かさである。――風景の美しさは、心が静まるところにこそ存在する。

